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大阪地方裁判所 昭和53年(ワ)676号 判決 1981年4月24日

《住所省略》

原告 甲野花子

<ほか一名>

右原告二名訴訟代理人弁護士 岡本生子

大深忠延

《住所省略》

被告 株式会社ロスカ商事

右代表者清算人 紙屋道雄

<ほか四名>

右被告五名訴訟代理人弁護士 吉井洋一

主文

一  被告らは連帯して、原告甲野花子に対し金一三七万二六〇〇円、原告乙山春子に対し金一五一万三一〇〇円及びこれらに対する昭和五三年四月一四日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告らのその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用はこれを五分し、その一を原告らの、その余を被告らの負担とする。

四  この判決の第一項は仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告らは連帯して、原告甲野花子に対し金一八四万七六〇〇円、原告乙山春子に対し金一八八万三一〇〇円及びこれらに対する昭和五三年四月一四日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

3  仮執行宣言。

二  請求の趣旨に対する被告らの答弁

1  原告らの請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告らの負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  マルチ商法の仕組及び問題点

(一) マルチ商法は次のような基本的特色を有している。

(1) 実質的にはセールスマンにあたる加盟者を法律形式的には独立の企業者として扱う。

(2) このような加盟者をレベル(普通は三ないし四のレベル)に区分し、上級のレベルほど多額の出資又は商品購入を資格要件とする反面、商品の割引率、リベート等を多くするという形で有利な待遇をする。

(3) 加盟者の収入源として、物の流通から生ずる中間マージンのほかに、新規加盟者の募集又は下位のレベルの者を上位レベルに昇進させること(以下リクルートという。)によって、多額の利益をあげうると宣伝する。そして一般に、このリクルートによる利益(スポンサー料)のほうが、商品流通に伴うマージンよりもはるかに多くなるような仕組になっている。

(二) マルチ商法の基本的な問題点は次のとおりである。

(1) 加盟すればリクルートによって巨額の収入をあげうるという説明をして、次々と新しい加盟者をリクルートしていくけれども、リクルートしうる人数には客観的な限界があり、しかもそれは組織の拡大とともに加速度的に困難を増してくる。このリクルートの有限性をかくしてリクルートを続けるという点にマルチの最大の問題点がある。

(2) そのようなからくりを気づかせないようにするために、種々の不公正な勧誘方法がとられる。特異な成功例あるいは架空の例を用いて、あたかも簡単にあるいは努力次第で誰でもそのような収入を得られるかのように錯覚させ、さらには豪華なホテルの一室を借りて密室状態の中で催眠的手段を利用して契約締結に誘導する等の手段が用いられる。

(3) 加盟の条件として多額の商品購入を義務づけたり、高額の研修費等を払わせるなど、高額の初期投資を行わせてしまう結果、加盟者は自己の投資を回収するために、親戚、友人等をしつこく勧誘しようとするが、現実には、リクルートの有限性の他に商品販売の不振等からくる困難に直面し、所期の利益を得られないばかりか、自己の投資分すら回収できなくなるケースが多い。

2  被告会社が企画、実施したマルチ商法の仕組。被告株式会社ロスカ商事(以下被告会社という。)が企画、実施したロスカシステムは、前記1の仕組及び問題点を具有するマルチ商法そのものである。すなわち、

(一) ロスカシステムは、商品としてサンシャインパワーと健美麗茶を扱い、商品の販売店を上位から代理店(以下Aという。)、特約店(以下Sという。)、小売店(以下Rという。)の三段階に区分し、Rの資格を取得するために、サンシャインパワー一ユニット、健美麗茶一ケースをA又はSから代金合計金八万三〇〇〇円で購入させ、加入年会費などの名目で合計金一万〇一〇〇円を被告会社に納入させ、Sの資格を取得するためにサンシャインパワー一五ユニット、健美麗茶一五ケースをAから代金合計金一〇九万五〇〇〇円で購入させ、特約店セミナー費などの名目で金二〇万一〇〇〇円を被告会社に納入させ、SからAへの資格を取得するために、後任のSを従来の直上Aの下に置いたうえサンシャインパワーなど合計二〇個を被告会社から代金合計金五三万円で購入させ、代理店権利金などの名目で金六九万五〇〇〇円を被告会社に納入させていた(以上のうち、取扱商品、納入金額などは時期により多少変動があった。)。

(二) 被告らは、原告らを含む大衆に対し本件ロスカシステムにおいて別紙記載の儲け方があると説明した。

これによると、加盟者の利益は、大別して自己又は下位の加盟者の商品販売によるものとスポンサー収入とからなっているが、前者についてもリクルートした新規加盟者に対する卸売に伴う中間マージンの占める比重が大きく、結局のところ加盟者の利益はリクルートの成否に左右される面が極めて強い。

(三) 被告らは、知人、友人などを通じて大衆を動員し、信用ある建物でポールメイトなる事業説明会を催し、時間厳守、正装、握手、愛想、お世辞、笑い、拍手、映画、成功談などをセットし、集団催眠の中で加盟を勧誘した。

(四) マルチ商法そのものであるロスカシステムにおいては説明どおりの収入をあげることは不可能であるのに、被告らは、リクルートに際しロスカシステムの有利性、ユニーク性を誇張して宣伝し、リクルートの有限性などを秘匿して重要事項を告知せず、ロスカシステムに加入すると一日三時間、週三日で一か月一〇万円ないし二〇万円の利益をあげることができると虚偽の宣伝をし、商品の販売実績に関係なく新規加盟者をリクルートし又は上位昇格させることによりリクルート料(スポンサー料)を取得しうること及びこれが極めて高額であることを表示して取引を勧誘した。

3  原告らの加盟、昇格の経緯

(一) 原告甲野

(1) 原告甲野は勤務のかたわら専門学校に学ぶ学生であるが、昭和五二年三月一六日学友丙川夏子から被告会社主催のポールメイト(大阪市内京橋の扶桑会館)に誘われ、同会場において、多数人によるお世辞、甘言、握手、拍手などの中で催眠状態に陥れられ、「サンシャインパワーを用いて一日三時間、週三日で月一〇万円ないし二〇万円儲かる。昼間の仕事はそのままで夜の余暇の時間にアルバイトとして儲かる。」との勧誘を受け、よってロスカシステムの小売店に加盟し、当夜所持していた金二〇〇〇円を小売店加盟出資金の一部として支払った。同原告はその後も週三日右会場で行われたポールメイト及びそれに引続く第二会場で同様の勧誘、説得を受け、同月二一日小売店加盟出資金の残金九万一一〇〇円を支払った。

(2) 原告甲野は同年四月一五日ポールメイト終了後の午後一〇時ころから桜橋のパブロイヤルにおいて被告河井から「儲けるためには一三〇万円いる。大金だがすぐ取戻せる。六か月一生懸命やって何もなかったら自分のもっている財産を全てやる。」などと特約店への昇格を勧誘され、さらに丸ビル内喫茶店で被告井上、同中條(当時は小野姓)らからも同様の勧誘を受け、多額の利益を得られるものと思って昇格を決意し、翌一六日午後二時ころ同原告の下宿にまでついてきた被告井上らに預金通帳と印鑑を預けるに至った。そして、その後も下宿、勤務先に被告らからひんぱんに電話を受け、被告井上の指示により友人らから借金をして同月二二日までに特約店昇格費用として一二九万四五〇〇円を支払った。

(二) 原告乙山

(1) 原告乙山も勤務のかたわら専門学校に学ぶ学生であるが、昭和五二年四月二五日学友である原告甲野からポールメイトに誘われ、同日及びそれ以後のポールメイトやそれに引続く第二会場での会合において被告らから「アルバイトとして月一〇万円ないし二〇万円儲かる。」などと原告甲野の場合と同様に催眠状態の中で勧誘を受け、よって同月二九日小売店に加盟し、出資金として九万三一〇〇円を支払った。

(2) 原告乙山は同年七月七日午後八時ころから大阪市北区所在の丸ビル内喫茶店において被告井上、同中條から執拗に特約店への昇格の勧誘を受け、さらに翌八日午前〇時すぎに大阪市東区諏訪二丁目所在のスカイハイツ深江橋内河井ブロック事務所に連行され、被告らから監禁状態の中で同様に昇格を勧誘された。同原告は隙を見て逃げだそうとしたが、エレベーター内から外に突き飛ばされ、階段をふさがれて引戻され、ついには被告内藤から「お金を一週間おれに預けてみよ。」と強要され、下宿までついてきた被告中條に預金通帳と印鑑を取上げられ金一三三万円を勝手に引出されたうえ、下宿にひんぱんに電話をかけられたり訪問を受けて同月一〇日特約店への昇格を強要された。

4  ロスカシステムの仕組自体の違法性

(一) 前記2記載のとおり加盟者が所期の利益をあげ又は少なくとも投資の回収を行うにはリクルートに頼らざるを得ないところ、リクルートによる組織の拡大とともに加速度的にリクルートの困難性が増大することは計算上明らかである。しかも現実の問題としてもリクルートは容易ではなくマルチ商法の組織原理に疑問を抱く者も多いから、早晩地域内に限界点に到達し、新たな加盟者をリクルートすることが著しく困難となり行詰まることは明らかである。したがって、ロスカシステムは早く始めた一部の者のみが儲かり最終的には多数の出資金すら回収できない被害者を必然的に生む仕組を有している。

(二) ロスカシステムの加盟者はリクルートにより利益をあげ又は投資を回収することになるが、このことは新たに被害者をつくることによって自己の損害を回復するということなのであって、その結果波状的に被害者を増大せしめることになる。

(三) 被告らのロスカシステムの運営方法はこの点の違法性をさらに強めるものである。すなわち、被告らは加盟者に対し新しい加盟者を連れてくることのみを指示し、特約店になっても商品の引渡も行わず、取付工場も形式的にしかもうけず、商品販売とは名ばかりでリクルートにより一般大衆の資金を収奪することのみを目的としていた。

(四) このようなロスカシステムの企画、実施並びに荷担自体が違法である。

5  勧誘方法の違法

(一) 被告らの勧誘方法は、催眠状態の中で加盟を勧誘し、又リクルートの有限性、困難性を秘匿してわずかの労力で多額の利益を得られると虚偽の事実を申し向けて加盟、昇格を勧誘したものであり、違法性を有すること明らかである。

(二) 被告らは原告乙山に対し特約店への昇格を勧誘するに際し強迫を行った。

6  被告らの地位、責任

(一) 被告会社代表取締役紙屋道雄は、仕組自体違法なロスカシステムを企画、実施し、集団催眠の中で違法な勧誘を行うポールメイトを主催、実施し、チーフマネージャーなどを通じて下部会員に至るまで詐欺的、強迫的手段をも辞さないリクルートを指示していた。

(二) 被告河井はチーフマネージャーとして被告内藤、同井上、同中條らの属する河井ブロックを掌握、管理し、被告内藤もチーフマネージャーとして被告河井を補佐し、被告会社の指示に基づき、仕組自体違法なロスカシステムの実施に積極的に参画し、ブロック内の会議、個別的指示により同ブロック所属員に対し詐欺的、強迫的手段をも辞さない方法による加盟、昇格の勧誘を指示し、自らも違法な手段による勧誘に関与した。

(三) 被告井上は河井ブロック内のシルバーグループのグループ長として、被告中條は同グループ所属の代理店として、原告らの勧誘にあたり、仕組自体違法なロスカシステムの実施、違法な勧誘にあたった。

(四) よって、被告会社は商法二六一条三項、七八条、民法四四条一項、その余の被告らは民法七〇九条により連帯して原告らに生じた損害を賠償すべき義務がある。

7  損害

(一) 出資金相当損害金

(1) 原告甲野 合計金一三八万七六〇〇円

小売店分 金九万三一〇〇円

特約店分 金一二九万四五〇〇円

(2) 原告乙山 合計金一四二万三一〇〇円

小売店分 金九万三一〇〇円

特約店分 金一三三万円

(二) 慰藉料 各金三〇万円

原告らは被告らの不法行為によりノイローゼになり、勤務先、下宿先に多大の迷惑を及ぼし、学友をロスカシステムに誘い入れたため信用を失い、監禁、脅迫などにより精神的苦痛を受け、借金返済に種々の苦難に遭遇した。これらを金銭をもって慰藉するには各金三〇万円が相当である。

(三) 弁護士費用 各金一六万円

原告らは本件訴訟を自ら提起、追行することが困難なので原告ら訴訟代理人弁護士岡本生子、同大深忠延にこれを委任し、報酬として各自請求金額の約一割である各金一六万円を支払うことを約した。

8  結論

よって、原告らは被告らに対し不法行為に基づく損害金として連帯して、原告甲野に対しては金一八四万七六〇〇円、原告乙山に対しては金一八八万三一〇〇円及びこれらに対する昭和五三年四月一四日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1の事実は争う。

2  同2の事実のうち、被告会社がロスカシステムを企画、実施していたこと、(一)の事実中サンシャインパワーと健美麗茶を扱っていたこと及び被告会社→A→S→Rとの流通経路を有していたことは認め、その余の事実は否認する。

3  同3(一)の事実のうち、原告甲野が金九万一一〇〇円を出資して小売店に加盟した事実、金一二九万四五〇〇円を出資して特約店に昇格した事実、同原告主張のころ同原告が被告河井、同井上、同中條とともにパブロイヤル、被告井上、同中條とともに丸ビル内喫茶店に行った事実、被告井上らが預金通帳と印鑑を預った事実は認め、その余の事実は否認又は知らない。

同3(二)の事実のうち、原告乙山が金九万三一〇〇円を出資して小売店に加盟した事実、金一三三万円を出資して特約店に昇格した事実、同原告主張のころ同原告がスカイハイツ深江橋に行った事実、被告中條が同原告から預金通帳と印鑑を預かり払戻を受けた事実は認め、その余の事実は否認又は知らない。

4  同4、5の事実は否認する。

5  同6の事実は否認する。ただし被告中條が代理店であった事実は認める。

6  同7(一)、(二)の事実は否認し、同(三)の事実は知らない。

三  抗弁

1  損益相殺

原告らはロスカシステムに加入して次の収入を得ているから、これらの収入は原告らの損害から損益相殺されるべきである。

(一) 原告甲野 合計金二六万三五〇〇円

(1) 原告乙山の小売店加盟特約店昇格分 金一二万九〇〇〇円

(2) 甲原秋子の小売店加盟分 金八万九〇〇〇円

(3) 甲海冬子のサブ小売店加盟分 金四万五五〇〇円

(二) 原告乙山 合計金一三万一〇〇〇円

(1) 乙原一枝のサブ小売店加盟、特約店昇格分 金八万五五〇〇円

(2) 乙海二枝のサブ小売店加盟分 金四万五五〇〇円

2  過失相殺

原告らもロスカシステムへの参画、遂行につき過失がある。

四  抗弁に対する認否

1  抗弁1の事実のうち、次の限度で収入を得たことは認め、この金額をこえる部分は否認する。

(一) 原告甲野

(1) 原告乙山の小売店加盟分 金八万三〇〇〇円

(2) 甲原秋子のサブ小売店加盟分 金四万一〇〇〇円(商品代金から手数料五〇〇円を差引かれた残額)

(3) 甲海冬子のサブ小売店加盟分 金四万一〇〇〇円(前同)

(二) 原告乙山

(1) 乙原一枝のサブ小売店加盟分 金四万五〇〇〇円(前同)

(2) 乙海二枝のサブ小売店加盟分 金四万五〇〇〇円(前同)

2  同2の事実は争う。

第三証拠《省略》

理由

一  《証拠省略》によれば請求原因1の事実が認められる。

二1  請求原因2の事実のうち、被告会社がロスカシステムを企画、実施していたこと、(一)の事実中サンシャインパワーと健美麗茶を扱っていたこと及び被告会社→A→S→Rとの流通経路を有していたこと、同3(一)の事実のうち、原告甲野が少くとも金九万一一〇〇円を出資して小売店に加盟した事実、金一二九万四五〇〇円を出資して特約店に昇格した事実、同原告主張のころ同原告が被告河井、同井上、同中條とともにパブロイヤルに、被告井上、同中條とともに丸ビル内喫茶店に行った事実及び被告井上らが預金通帳と印鑑を預った事実、同3(二)の事実のうち、原告乙山が金九万三一〇〇円を出資して小売店に加盟した事実、金一三三万円を出資して特約店に昇格した事実、同原告主張のころ同原告がスカイハイツ深江橋に行った事実及び被告中條が同原告から預金通帳と印鑑を預かり払戻を受けた事実、同6の事実中被告中條が代理店であった事実、抗弁1(一)の原告甲野がロスカシステムに加入して得た収入中原告乙山分に関し金八万三〇〇〇円、甲原秋子分に関し金四万一〇〇〇円、甲海冬子分に関し金四万一〇〇〇円の限度、同1(二)の原告乙山がロスカシステムに加入して得た収入中乙原一枝分に関し金四万五〇〇〇円、乙海二枝分に関し金四万五〇〇〇円の限度で当事者間に争いがない。

2  右争いのない事実に、《証拠省略》によれば、次の事実が認められる。

(一)  被告会社は、白光オート協会の流れをくみマルチ商法を営んでいた株式会社勝鹿の取締役であった紙屋道雄によって昭和五一年八月に設立された会社であり、勝鹿の業務をそのまま引継いだ。

(二)  被告会社はロスカシステムを企画、実施していた(以上の事実は当事者間に争いがない。)。このロスカシステムは、商品としてサンシャインパワーと健美麗茶を扱い(以上の事実は当事者間に争いがない。)、商品の販売店を上位から代理店(A)、特約店(S)、小売店(R)の三段階に区分し、Rの資格を取得するために、サンシャインパワー一ユニット、健美麗茶一ケース(四個入り)をA又はSから代金合計金八万三〇〇〇円(一個当たり金四万一五〇〇円)で購入させ、加入年会費などの名目で合計金一万〇一〇〇円を被告会社に納入させ、Sの資格を取得するためにサンシャインパワー一五ユニット、健美麗茶一五ケースをAから代金合計金一〇九万五〇〇〇円(一個当たり金三万六五〇〇円)で購入させ、特約店セミナー費などの名目で金二〇万一〇〇〇円を被告会社に納入させ、SからAへの資格を取得するために、後任のSを従来の直上Aの下に置いたうえサンシャインパワーなど合計二〇個を被告会社から代金合計金五三万円(一個当たり金二万六五〇〇円)で購入させ、代理店権利金などの名目で金六九万五〇〇〇円を被告会社に納入させていた(以上の事実のうち、取扱商品、納入金額などは時期により多少の変動があった。また、以上のうち、ロスカシステムが被告会社→A→S→Rとの流通経路を有していたことは当事者間に争いがない。)。

(三)  被告らは、ポールメイトその他の機会やパンフレットなどで、原告らを含む大衆に対しロスカシステムにおいては別紙記載の儲け方があると説明していた。

(四)  被告会社は新加盟者を勧誘するためにポールメイトという名称の事業説明会を週二回開催していた。被告会社は既加盟者に対しポールメイトに必ず出席すること、背広を着用するなど正装すること、加盟見込者をポールメイトの会場に同道する際、ロスカシステムについての説明をせずに例えば「若い人だけのサークルがあるから。」などといってとにかく会場に連れてくるよう指導していた。さらに、加盟見込者に愛想をよくし、熱烈に握手を求めるなどして歓迎するよう指導していた。また、同会場での説明がはじまったときは、拍手をし、笑うべきところは笑って、一体として会場の雰囲気をつくりあげるよう指導していた。

午後七時ころから説明がはじまり、まず、技術者風の者が、サンシャインパワーは特許製品であり、燃費の節約を図るなどすばらしい商品であることを力説し、次に別の者が登壇し、ロスカシステムのユニーク性を強調し、「この説明会に参加した人だけが儲ける特典を与えられる。」「週三日。一日三時間の余暇の時間を利用して儲けられる。」「小売店であれば月一〇万円ないし二〇万円、特約店であれば月二〇万円ないし三〇万円、代理店であれば月五〇万円以上儲かる。」などと、成功例を多数挙げ又参加者に「あなたはどんな夢がありますか。」と質問したりしながら、前記の拍手や笑いなどによって高められた雰囲気の中で、参加者の欲望をかきたて、ロスカシステムの有利性を印象づけていた。右の説明、勧誘に引続き、同会場及び第二会場の喫茶店においてブロック(ブロックの構成役割は後記説示のとおりである)単位で右同様の説明、勧誘が行われた。

被告会社は、ポールメイトに同道させる加盟見込者につき一定の資格(例えば、年令、商売経験)を要求したことはなかった。また、加盟を決意した者には一〇〇〇円でもいいから出資させ、直ちに契約を締結するよう指導していた。

(五)  原告甲野は当時二一才であり、働きながら看護学校に通学していたが、学友丙川春子に「若い人ばかりのサークルがあるから、いってみないか。」とロスカシステムの説明会であることを知らされずに誘われ、昭和五二年三月一六日午後七時から大阪市内京橋の扶桑会館で行われたポールメイトに参加し、前記(四)と同様の歓迎、説明を受けたのち、同会場で牧添、被告井上、同中條らから「入会したらわかる。自分たちも何も知らされずに連れてこられたが、現在はこうして儲かっている。」などと勧誘され、自分も儲けられるのではないかとの期待をもつに至り、入会金の一部として二〇〇〇円を出資して小売店に加盟し(直上の特約店は丙川、その上の代理店は被告中條であった。)、同月一九日までに残金九万一一〇〇円を出資した(同原告が少くとも金九万一一〇〇円を出資して小売店に加盟したことは当事者間に争いがない。)。同原告はその後も週三日行われたポールメイト(うち一回は既加入者のみの会)に参加し、疑問をもたずに努力すること、ランクがあがるともっと儲かることなどを教育され、また、友達を連れてくるよう指導を受けていた。

(六)  原告乙山は当時二四才であり、働きながら看護学校に通学していたが、学友である原告甲野から「いいアルバイトがあるからいってみないか。」とポールメイトであることを知らされずに誘われ、昭和五二年四月二五日午後七時から行われたポールメイトに参加し、同日及び二日後の同月二七日のポールメイト及びそれに引続く第二会場で前記(四)と同様の歓迎、説明を受け、被告河井、同井上、同中條、原告甲野らから、「どんな夢があるか。」、「週三日、一日三時間で儲かる。」などと勧誘を受け、多少は儲かるのではないかとの期待をもつに至り、同月二七日小売店に加盟し(直上の特約店は原告甲野、その上の代理店は被告中條であった。)、翌日までに出資金九万三一〇〇円を支払った(原告乙山が金九万三一〇〇円を出資して小売店に加盟した事実は当事者間に争いがない。)。

(七)  原告甲野は、昭和五二年四月一五日午後一一時ころから桜橋のパブロイヤルで被告河井から「小売店ではあまり儲からないから特約店にならないか。」「特約店になり人を連れてくれば売れた商品代金はすべてその分の利益もきみに入る。一三〇万円くらいすぐもとがとれる。」「六か月がんばって儲からなければぼくの財産を全部やる。」と特約店への昇格の勧誘を受け(同原告が被告河井らとパブロイヤルに行った事実は当事者間に争いがない。)、これに引続き丸ビル内喫茶店で丙川、被告井上、同中條からも「すぐにもとがとれる。」「丙川も儲かっている。」と勧誘を受けて、昇格を決意し(このころ同原告が被告井上及び同中條と丸ビル内喫茶店に行った事実は当事者間に争いがない。)、翌一六日午前二時ころ下宿に戻って被告井上らに預金高約四〇万円の預金通帳を預けた(この事実は当事者間に争いがない。)。同原告は被告井上の指示を受けて上司、友人、実家などに借金を申込み、自己の預金とあわせて同月二二日までに出資金全額の一二九万四五〇〇円を支払った(同原告が金一二九万四五〇〇円を支払って特約店に昇格したことは当事者間に争いがない。)。なお、被告井上らはこの時期出資金の催促、借金の相談のために原告甲野の下宿及び勤務先に一日四、五回電話をかけたこともあった。

(八)  原告乙山はロスカシステムからの脱退を申出ていたところ、昭和五二年七月七日午後八時ころから丸ビル内喫茶店において被告井上、同中條らから「乙原(同原告の勧誘により加盟した者である)をほったらかして無責任なことをしていいのか。」と脱退を引止められたうえに特約店への昇格を勧誘された。被告井上らは終電車のなくなった同原告をスカイハイツ深江橋の河井ブロック事務所に同道し(このころ同原告がスカイハイツ深江橋に行った事実は当事者間に争いがない。)被告井上、同中條ら五、六名が翌八日午前六時ころまで交代でなだめたり怒ったりしながら特約店への勧誘を延々と続け、同所から帰ろうとする同原告を、被告中條らが腕を引っぱったり通路をふさぐなどして妨害し、最後に被告内藤が「なんで泣いているのか。一週間だけ金を預けてみい。」といって同原告に昇格を強要した。不眠の状態で勧誘を受けて疲労困憊し、当日の夜勤をひかえて帰宅を急いでいた同原告はやむなく昇格に同意し、同日下宿までついてきた被告中條に預金通帳と印鑑を渡した。被告中條は金一三三万円を引出したうえ(被告中條が同原告から預金通帳と印鑑を預かり払戻を受けた事実は当事者間に争いがない。)原告乙山の下宿にひんぱんに電話をかけ又訪問して特約店昇格の契約書に署名をさせた(同原告が金一三三万円を出資して特約店に昇格したことは当事者間に争いがない。)。

(九)  被告会社の下に株式会社組織の五つの支局があり、河井ブロックは和成支局に属していた(なお、支局は昭和五二年五月に廃止され、いわゆる一本化が行われた。)。ブロックは販売活動が円滑に行われるように所属の代理店の指導、援助を行うことを目的としていた。

被告会社は前記のとおりポールメイトを主催しており、昇格会議その他の会合を開催して各ブロックのチーフマネージャーらを通じ、会員に対しポールメイトに必ず出席すること、正装すること、マルチ商法であることを話さずにとにかく加盟見込者を連れてくること、握手を求めるなど歓迎すること、ポールメイトの雰囲気をつくりあげることに協力することを指示していた。また、特約店への昇格に関しては、パンフレットなどで加盟見込者や小売店に対し特約店に昇格することによりなお一層儲かることを宣伝するとともに、昇格会議などの場で、各ブロックの責任者(河井ブロックについては被告河井)に対し所属の小売店を多数昇格させ、金のない者に対しては資金繰りにも協力するよう指示していた。右の指示の際、昇格の勧誘にあたりリクルートの困難性について説明するよう指示したことはなく、かえって、ブロック責任者や一般大衆にひたすらリクルートすることを指示し、さらに昭和五二年五月の一本化以後はなお一層特約店への昇格の勧誘について厳しく指示し、会員の親から昇格資金を詐取することや強迫的言辞を使ってでも昇格を果たすよう指示していた。

被告河井は河井ブロックを統括するチーフマネージャーとして被告会社の会議に出席するなどして指示を受けたうえ、所属の代理店などに対し会議を開き又は個別にこれを指示していた。加盟の勧誘に関しては、前記認定のポールメイトに正装で参加することなどを指示徹底させ、ポールメイトでの説明ののち、ポールメイトや第二会場においてブロック単位で行われた勧誘について「儲かる」ことを強調して加盟見込者の気持を引付け、一〇〇〇円でもいいから出資させて契約書にサインさせ、多数の者を加盟させることを指示していた。昇格に関しては、ブロック内の会議などでブロック内の昇格勧誘の対象者を具体的に決定し、自ら勧誘にあたり又は被告内藤、同井上らをしてこれにあたらせていた。

被告内藤は河井ブロック内で被告河井に次ぐ地位にあり、被告河井を補佐して前記認定の被告河井の役割とほぼ同様の任務を果たしていた。

被告井上は、河井ブロック内の二つのグループの一つであるシルバーグループの長として下部にリクルートを指示し、代理店などの行う勧誘を援助していた。ある者が特約店に昇格すると、ブロックにも被告会社からブロックの経費各自などで金銭が支払われた。

被告中條は、代理店として原告らの勧誘にあたったものであり、原告らのリクルートにより自己の手持ち商品又は自己の直下の特約店のそれが原告らに流通したことになり、商品代金を取得する関係にあった。

(一〇)  被告会社は昭和五二年六月以降小売店加盟者などの親などに詐欺をはたらいて特約店昇格資金を調達することを計画し、昇格を希望する小売店とともに小売店の親に対し「友人から預った金を落した」「やくざと交通事故をおこした」と虚偽の事実をいって特約店昇格資金相当額を騙取していた。このため被告会社代表取締役紙屋道雄、被告河井、同内藤、同井上はいずれも詐欺罪により起訴され、有罪判決を受けた。

(一一)  被告河井及び同内藤は一般消費者に対しサンシャインパワーを各数個しか売ったことがなく、同井上や同中條は一般消費者にサンシャインパワーなどを売ったことは全くなかった。右の被告らは新聞などでマルチ商法が商品のネズミ講であるなどと批判されていたことを知っており、また自らの商品が一般消費者に流通せず販売組織のみが肥大することに疑問を持つこともあった。また、サンシャインパワーの取付工場は近畿圏に一軒しかなかった。

(一二)  原告甲野は、特約店となったのち、原告乙山を小売店に加盟させて金八万三〇〇〇円の利益を得、甲原秋子及び甲海夏子をサブ小売店に加盟させて各金四万一〇〇〇円の利益を得た(原告甲野が右の限度で利益を得たことは当事者間に争いがない。原告甲野が原告乙山を特約店に昇格させたことによるリクルート料の支払を受けたことを認めるに足りる証拠はない。)。

原告乙山は乙原一枝及び乙海二枝をサブ小売店に加盟させて各金四万五〇〇〇円の利益を得た(原告乙山が右の利益を得たことは当事者間に争いがない。原告乙山が乙原に関しリクルート料を得たことを認めるに足りる証拠はない。)。

三  以上の事実によると、

1  ロスカシステムは、前記一で認定した仕組及び問題点を具有するマルチ商法そのものである。

2  小売店への加盟勧誘

ポールメイト及び第二会場で行われた原告らに対する加盟の勧誘方法は、被勧誘者を理性的判断力、思考力の麻痺した状態に陥し入れ、右状態を利用して小売店への加盟の意思表示、出資金の支払をなさしめたものであるから、それ自体健全な社会の取引観念上許容された方法を逸脱した違法性を有する。

3  原告甲野に対する特約店昇格勧誘

(一)  特約店に昇格したのち特約店昇格の出資金を回収しさらに説明どおりの利益を得るためには他人を自己の下の小売店に加盟させるなどのリクルートに頼らざるを得ない(一般消費者に一個ずつ販売していたのでは手間がかかり宣伝どおりの利益はとても得られないところ、人をリクルートすると、その者に直ちに所定の個数の商品を販売したことになるうえ、その者が販売したりリクルートすることによる利益も得ることができる仕組になっている。)。右の点は、被告らが人を連れてくることのみを指示教育していたこと、被告河井らにおいても一般消費者に対しサンシャインパワーを数個しか売ったことがないこと及びサンシャインパワーなどが優秀な商品であり、一般消費者への販売が容易であるとの事情も窺われないことに照らし明らかである。ところがリクルートしうる人数に限界があることは計算上明らかであり、しかもこの困難は組織の拡大とともに加速度的に困難を増してくる。仮に初期に特約店に昇格した者が運よく自己の特約店昇格資金を回収し多少の利益を得ることができたとしても、右の者のリクルートにより特約店などに昇格しなお一層の利益を得ることができるとの期待をもってロスカシステムに加盟した者は一層困難となったリクルートに直面することになる(被告河井らが詐欺罪を犯すに至ったこともリクルートの困難性の一つのあらわれとみることができる。)。したがって、ロスカシステムの特約店への昇格を勧誘する場合、右のリクルートの困難性及び困難性の拡大を告知すべきである。

若年で商売経験もない原告甲野に対し右の告知をせずに特約店への昇格を勧誘し、特約店昇格の意思表示をさせ、特約店昇格の出資金を支払わせた行為は、他人の無知、金銭欲につけ入る詐欺的行為であり、違法性を有する。

(二)  さらに、原告甲野に対する特約店昇格の勧誘方法は、ロスカシステムに疑問をもたず努力すること、小売店加盟後ロスカシステムの有利性特に多額の収益をあげうること、特約店に昇格するとその機会が増大することなどを反復して学習させ、同原告のロスカシステムに対する無知、誤信を継続かつ増大させ、これを利用して特約店に昇格させたものであるから、この点からも違法性を有する。

4  原告乙山に対する特約店昇格勧誘

原告乙山に対する特約店昇格勧誘行為は、年若い同原告を夜間監禁状態にし、何人もの者が交代で長時間にわたり執拗に昇格を勧誘し、困惑した同原告に昇格の意思表示をさせ、特約店昇格出資金を支払わせたものであるから、違法性を有すること明らかである。

5  被告らの責任

被告会社代表取締役紙屋道雄は、以前からマルチ商法に関与してマルチ商法の問題点を知りながらポールメイトなどを主催して違法なリクルートをし、または下部の組織員にこれを指示していたものである。

被告河井、同内藤は、マルチ商法に対する世間の批判が高まる中で違法な勧誘であることを知りながら、自ら原告らのリクルートに関与し、又は河井ブロック所属の被告井上、同中條らにこれに当たらせていたものである。

被告井上、同中條も同様に違法な勧誘であることを知りながら、自ら原告のリクルートに当った。

したがって、被告らは連帯して原告らに生じた損害を賠償すべき義務がある。

6  出資金相当損害

原告らは支出した小売店加盟、特約店昇格の各出資金と同額の損害を被った。

(一)  原告甲野 金一三八万七六〇〇円

(二)  原告乙山 金一四二万三一〇〇円

7  慰藉料

(一)  原告甲野       金二万円

原告甲野はロスカシステムにある程度積極的に関与したものと認められるので、被告井上らの同原告への架電(特に特約店昇格資金調達時)も同原告の業務を妨げるなど許された範囲を逸脱したものとは認められず、さらに、借金返済における苦難も出資金相当の損害賠償を得れば通常慰藉されるものと認められる。しかしながら、同原告がロスカシステムのもつ有害性に気づかないまま学友ら(特に原告乙山)をロスカシステムに誘い入れた結果、自責の念にかられ、信用も失墜するという精神的苦痛を受けたことは容易に推認でき、しかもこれは出資金相当の損害賠償を得たとしても慰藉されない種類の損害であるうえに、本件不法行為によって通常もたらされる損害と認められるところ、これを金銭をもって慰藉するには金二万円が相当と認められる。

(二)  原告乙山       金五万円

原告乙山は前記のとおり監禁状態で勧誘を受けたものであり、これによって受けた精神的苦痛を慰藉するには金五万円が相当である。同原告の勧誘によりロスカシステムに加盟した者も二人にすぎず、その地位も低いから、学友を誘い込んだことによる精神的苦痛は金銭をもって慰藉すべきものとまでは認められない。

8  損益相殺

ロスカシステムにおいて、原告甲野は金一六万五〇〇〇円の、同乙山は金九万円の利益を得たものであるが、これらの利益は、原告らが甲原など勧誘した者から損害賠償を請求されその支払をしたとの事情も認められないから、原告らの損害の一部填補と同視して損害額から控除されるべきである。

9  被告らは過失相殺を主張するけれども、被告らは、原告らの無知、金銭欲に付け込み、これを増幅させて小売店に加盟させ、さらに特約店に昇格(原告甲野についてのみ)させたものであるから、原告がロスカシステムの本質を見抜けず儲けられるとの期待で加盟、昇格したからといって、被害者に過失があると認めることはできない。

10  弁護士費用     各金一三万円

弁論の全趣旨によれば、原告らは本件訴訟の提起、追行を弁護士岡本生子、同大深忠延に委任し、報酬として請求金額の総一割である各金一六万円を支払うことを約したことが認められるところ、本件の事案、難易、認容額などに照らすと、原告らにつき各金一三万円を本件不法行為と相当因果関係を有する損害と認めるのが相当である。

11  まとめ

そうすると、被告らは連帯して不法行為による損害金として原告甲野に対し金一三七万二六〇〇円、同乙山に対し一五一万三一〇〇円及びこれらに対する不法行為ののちである昭和五三年四月一四日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。

四  結論

以上の次第で、原告らの請求は右の限度で理由があるからこれを認容し、その余は失当であるからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条本文、九三条一項本文、仮執行の宣言につき同法一九六条一項をそれぞれ適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 國枝和彦 裁判長裁判官乾達彦は差支えのため、裁判官市川正巳は転任のため、それぞれ署名押印することができない。裁判官 國枝和彦)

<以下省略>

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